令和3年2月14日(日)  目次へ  前回に戻る

魔女に作らせておくとフェミに怒られるぞ。

今日は暖かかったです。東京の陽性者も減ったし、そろそろコロナは緊急事態解除かな?

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いやいや、そうはまいりませぬ。

北宋の大中祥符九年(1016)のことじゃ。

この年、河南、河北一帯は日照りとイナゴに苦しんだが、秋七月、

飛蝗過京城。

飛蝗、京城を過ぐ。

トビイナゴの群れが、都・開封を通過した。

当時道教や仏教にお凝りになられていた真宗皇帝は、おんみずから玉清昭応宮、開宝寺、霊隠塔などにお出向きになって、お香を焚いてお祈りになられた。また、宮中での音楽の演奏を五日にわたって禁止なされもしたのである。

ある日、帝は、

出死蝗以示大臣、曰、朕遣人徧於郊野視蝗、多自死者。

死蝗を出だして大臣に示して曰く、「朕、人を遣りて郊野にあまねく蝗を視せしむるに、自死せるもの多かりき」と。

死んだイナゴを取り出してきて、これを大臣たちに見せて、言った。

「朕がしもじもを遣わして都の郊外に広くイナゴを観察させたところ、その報告では(このように)自分で死んでしまっているものが多くあったらしいんじゃが・・・」

宰相の王旦はじろりとそのイナゴを見て、気難しそうに黙り込んでしまったが、参知政事(副宰相)やほかの大臣たちの中には、頷いている者もあった。

翼日、執政有袖死蝗以進者、曰、蝗実死矣。請示於朝、率百官賀。

翼日、執政、死蝗を袖にして以て進むる者有りて、曰く「蝗実に死せり。請う、朝に示して、百官を率いて賀さんことを」と。

次の日になると、大臣の中に、袖の中に死んだイナゴを入れて持ってきて、帝にこれを献上した者があった。彼が言うに、

「確かにイナゴは死んでおりました。これを朝廷の正式会議にも提示して、全官僚をそろえて祝賀を申し上げたいと思います」

と。

ほかの大臣たちも笑顔で賛同し―――

ところがその時、それまで黙りこくっていた宰相の王旦が

「なりませぬな」

と言い出したのであった。

蝗出為災、災弛、幸也、又何賀焉。

蝗出でて災を為す、災弛むは幸いなり、また何ぞ賀せん。

「イナゴが出現して災害になった。その災害が緩和されたらしいのは、幸福なことでござる。しかし、なんで緩和されただけで祝賀しなければならないのでござろうか?」

「まあまあ」

「めでたいことでござるから」

「最初にお見つけになった陛下はさすがでございますなあ」

衆力請、旦固称不可、乃止。

衆力請するも、旦固く不可を称し、すなわち止む。

まわりの者はみんなで王旦を説得にかかったが、王旦は堅く「不可」を主張し続け、結局のところ取りやめになった。

大臣たちが王旦の強情に屈したのを、皇帝も苦笑して見ておられたそうである。

その後、数日―――

二府方奏事、飛蝗蔽天。

二府、まさに奏事するに、飛蝗、天を蔽えり。

行政を行う尚書省と、軍事をまとめる枢密院から、報告が行われ、宰相以下大臣クラスの者が皇帝のもとに集まっていたとき、トビイナゴの群れが空を覆って現れた。

帝方坐便殿、左右以告。

帝まさに便殿に坐すに、左右以て告ぐ。

皇帝たちは日常の生活場所である便殿にいたのだが、近臣たちが慌てて知らせにきた。

「あ、あれを!」

帝起臨軒仰視、則蝗勢連雲障日、莫見其際。有堕於殿廷間者。

帝、起ちて軒に臨みて仰視するに、蝗勢雲に連なりて日を障(さ)え、その際(きわ)を見る莫し。殿廷間に堕つるものも有り。

皇帝が立ち上がって欄干のところまで行って空を仰ぎ見たところ、イナゴの群れは雲に連なり、太陽の光を遮って、その切れ目もないほどであった。

やがて、ばたん、ばたん、と宮殿にも何匹かのイナゴが落ちてきた。

「陛下、どうぞ室内にお戻りくだされ」

という声に促されて、

帝、顧謂旦曰、使百官方賀而蝗若此、豈不為天下笑邪。

帝、顧みて旦に謂いて曰く、百官をしてまさに賀せしめて、蝗かくのごとければ、あに天下の笑うところと為らざらんや。

皇帝は背後の王旦の方を振りかえって、おっしゃった。

「この間発案のあった全官僚による祝賀は、やってしまった後にイナゴがこんなふうだったら、どうやって天下の笑い者にされずに済んだであろうか(どうやったって、笑いものになったよな)」

それから、

黙然還坐、乃命撤膳、自是体遂不予。

黙然として坐に還り、すなわち命じて膳を撤し、これより体、ついに不予なり。

「不予」は「予(あらかじ)め予定していなかったこと」で、皇帝や高貴な方々のご病気をいいます。

帝は黙り込んで自分の席に座ると、食事を引き上げさせてしまった。そして、これ以降、体調をお崩しになられてしまったのである。

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「続資治通鑑」巻三十三より。ごはんを減らしたのに病気になるとは。

それはさておき、

「・・・この案件にもありますように、少し状況がよくなったら「すごくよくなりましたあ!」と言い出すやつが出てきますが、「そうだよなあ」と緊急事態を解除すると、あとで物笑いにされたりするので難しいのですぞ」

と賢者が言ってました。(今日の不要不急

 

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