令和3年6月12日(土)  目次へ  前回に戻る

いつまでイモリのように貼りついて生きていくのか。

明日はオンライン会議だ。どうやって出たふりをしてサボるか某所で考えています。もうバレてるかなあ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

春秋の終わりごろ、斉の景公(在位前547〜前490)が、狩猟に出かけて、十八日間、首府の臨淄(りんし)の町に戻って来なかった。

大夫の晏嬰が臨淄から出かけていって、公に会見を求めた。公はそのとき礼服を着ていなかったが、狩猟から宿所に戻ってきたところで晏嬰の姿を見かけ、馬車から降りると、

急帯曰、夫子何為遽。国家無有故乎。

急に帯して曰く、夫子何すれぞ遽(にわ)かなる。国家故有る無きか。

大急ぎで帯を締めて、晏嬰に声をかけた。

「先生、どうして急にお見えになったのじゃ? 国家に何か事故があった、などということはございませんでしょうな」

晏嬰は慇懃に一礼して、言った。

不亦急也。国人皆以為安野而不安国、好獣而悪民。毋乃不可乎。

亦急ならざるなり。国人みな、以て野に安んじて国に安んぜず、獣を好みて民を悪むと為せり。すなわち不可なるなきか。

「それほど急なことではございませんが・・・。首府の民たちはみな、殿は田野に落ち着いておられるようで首府には落ち着かれないようだ、ドウブツを追いかけまわすのはお好きだが人民と向き合うのはお嫌いなようだ、などとウワサしております。どうもよろしくないではありませんか」

「いやいや」

景公はおっしゃった―――

〇為夫婦獄訟之不正乎。泰士子午存矣

夫婦の獄訟の正しからざるが為か。泰士子午、存せり。

男女の国民たちの刑事裁判に間違いがあったのか。しかし、そのために泰士(首席裁判官)の子午が裁判を取り仕切ってくれている。

〇為社稷宗廟之不享乎。泰祝子游存矣。

社稷宗廟の享けざるが為か。泰祝子游、存せり。

首府の都市神、国の穀物神、あるいはご先祖たちの神霊が、祭りを受けようとせず、怪異なことが起こっているのか。しかし、そのために泰祝(筆頭神官)の子游が神事を取り仕切ってくれている。

〇為諸侯賓客莫之応乎。行人子羽存矣。

諸侯の賓客の応ずる莫(な)きが為か。行人子羽、存せり。

他の諸侯のところからお見えになった賓客たちを接待することができていないのか。しかし、そのために行人(接伴官)の子羽が接客を取り仕切ってくれている。

〇為田野之不辟、倉庫之不実、申田存矣。

田野の辟(ひら)けず、倉庫の実たざる為とせば、申田存せり。

田畑の開発がうまくいっていないとか、穀物倉庫に十分に穀物がない、というようなことであれば、申田が対応してくれているはずじゃ。

そして、

〇為国家之有余不足捜乎。吾子存矣。

国家の有余の捜に足らざる為か。吾が子存せり。

国家の収入の余りが調べても不足してしまうことが明らかになったのか。しかし、そのためにあなたがおられるのだ。

だから、何か事件があっても、わしは慌てる必要がない。

まったく、わたくしにとってあなたがたがいてくれるのは、

猶心之有四支。心有四支、故心得佚焉。

なお心の四支有るがごときなり。心に四支有り、故に心は佚なるを得ん。

人間の本体に対して、両手両足があるようなものじゃ。本体に両手両足があるから、本体はのんびりしていられるのだ。

寡人有吾子、故寡人得佚焉。豈不可哉。

寡人に吾が子有り、故に寡人佚なるを得ん。あに不可ならんや。

わしにはあなたがたがいるから、わしはのんびりしていられる。どうしてダメなことがあろうか。

―――と。

晏嬰はこれを聞いて、申し上げた。

「わたしの聞くところは、殿のお聞きになっていることと少し違いますな。

若乃心之有四支、而心得佚焉、可得令四支無心。十有八日、不亦久乎。

もし、心の四支有りて、心の佚するを得んとならば、四支をして心を無みせしむるを得べし。十有八日、また久しからずや。

もし、本体に両手両足があることによって、本体がのんびりしていられる、というのであれば、両手両足には本体が不要だと思うようになるであろう(、とわたしは聞いております)。十八日閧ニいうのは、それなりに長い時間ではございませんかなあ。

それでは戻ります」

晏嬰はそそくさと帰ろうとした。

「うーん」

公は唸りまして、

于是罷畋而帰。

ここにおいて、畋(でん)を罷めて帰れり。

そこで、狩猟を中止して、首府に帰ったのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「晏氏春秋」巻一「諫上」より。まあでもサボって追い出されるなら本望ですよね。もうマジメにやったって失敗して「おっちゃんはやっぱりもうあかんわ」とうなだれるしかないんだし。よし、方針決定。もう終わりにしよう。

 

次へ

inserted by FC2 system