令和3年7月4日(日)  目次へ  前回に戻る

「メメント・モリ」(死を忘れるなかれ)とは中世修道者たちの合言葉だが、どくろは忘れても黄金だけは忘れないであろう。みなさんは。

また明日出勤か。でも、もうすぐ忘れられていくだろうから、いいか。

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東晋の名宰相・謝安が、知人を評してこう言ったそうなんです。

長史語甚不多、可謂有令音。

長史、語甚だしく多からざるも、令音(れいいん)有りと謂うべし。

「長史」は王濛という人を指しています。ア「甚不多」は「甚だ多からず」(多くないことが甚だしい)ですから、イ「不甚多」「甚だしくは多からず」(甚だ多い、というわけではない)と違うので注意が必要ですね。

王長史は、言葉数が非常に少ない。しかしいいことを言うね。

またこんなことも言っているそうなんです。

道安北、見之乃不使人厭、然出戸去、不復使人思。

安北を道(い)うに、これを見ればすなわち人をして厭わざらしめ、然るに戸を出でて去れば、また人をして思わざらしむ、と。

「安北」は「安北将軍」の王坦之という人のことです。この文の中にア「不復・・・」(また・・・せず)がありますが、イ「復不・・・」(また・・・せず)とは違いますので注意が必要です(←何言っているかわかりませんよね。アは「もう・・・しない」イは「やはり・・・しない」という意味です)。

王将軍のことを言うに、「彼は、会っている間は少しもイヤにならない。ところが、ドアを出ていなくなってしまうと、もうどうでもよくなってしまう」と。

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「世説新語」賞誉第八より。どちらもたいへん誉めてもらっているようなんですが、みなさんはどちらを目指しておられますか。雨の中、昼の調査夜の所用あり。

 

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